コラム 12月

Tere!(テレ=エストニア語での一般的な挨拶)
そして、Head uut aastat!(ヘアト ウウトゥ アアスタットゥ=エストニア語での、明けましておめでとうございます)
Yourmarks.inc コラムニストの、エストニア在住の菱田です。

1月1日に発生した石川県能登地方の地震により、お亡くなりになられた方、また被害に遭われた方々に、心よりお悔やみとお見舞いを申し上げます。

年末年始はいかがお過ごしでしたでしょうか? エストニア国内でも今回の地震は年明け早々より、大きなニュースになっておりました。
実はエストニアでは地震が発生することはほとんど無く、発生したとしても揺れが少ないものがほとんどなのですが、1976年10月25日にはマグニチュード4.5を記録した地震も発生したことがあります。
エストニアでの地震は決まって国内北東部の海岸線に近いエリアで起こることが多いそうですが、過去津波が発生した事例などはないそうです。


ー1976年10月25日の地震の震源地 タリンから車で1時間ほど離れた場所でした

 

少し話がそれましたが、今回のコラムではエストニアでのクリスマスについて綴って行こうと思います。

まずはエストニアのクリスマスシーズンを代表する、首都タリンのクリスマスマーケット。クリスマスマーケット自体は、タリンだけでなく第二の都市タルトゥでも開かれているのですが、タリンのものは2019年のヨーロッパ内の最も素晴らしいクリスマスマーケットにも選出された有名なものです。

タリン市内の旧市街にあるラエコヤ広場(Raekoja platsで開催されているクリスマスマーケットは、世界で一番初めにクリスマスツリーが建てられたところと言われており、1441年に地元のギルド組合によって建てられた記録が残っています。 


ークリスマスマーケットの様子

 

特徴的なのがその開催期間なのですが、毎年12月の第一金曜日から始まり、クリスマス後にすぐに終わらずに、翌年1月6日ごろまで行われます。というのも、無宗教の方の比率が多いエストニアですが、国内にはロシア系住民を中心にロシア正教会派の方も多数いるため、東方教会のお祝いに沿って1月6日の神現祭(Kolmekuningapäev=東方三博士の日の意)までは開催されているようです。

僕自身、毎年この時期になると必ずタリンのクリスマスマーケットに行くのですが、今年は開催開始日初日に行ってきました!

初日の金曜日の夕方にもかかわらず、クリスマスマーケットにはたくさんの人が出向いていました。特に週末観光やクルーズがてらでやってくるフィンランド人の観光客がかなり多く、あちらこちらでフィンランド語が飛び交っていました。

クリスマスマーケットの屋台で売られているものは毎年似通ったもので、編み物類、ハンドメイド作品、オーナメント、チョコレートなどのスイーツを販売しているところや、暖かい飲み物、スープ、屋台フードなどを販売しているところがほとんどです。


ー屋台の様子 大きなフライパンをガス火で温めて鉄板焼きの要領で調理しています。

 

クリスマスマーケットで一番人気なものは、”Glögi”(グロギ)と呼ばれる北欧のクリスマスドリンクです。グリューワインと同じようにアルコール入りと無しの両方があり、クローブ、シナモン、カルダモン、生姜をスパイスとして加えてあり、オレンジやレモンの皮、レーズン、アーモンドなどが入れられることもあります。
味は甘いジュースのようなものですが、スパイスが入っているので飲んだあとは体の中からポカポカと暖かくなります。 


ーグロギを販売している屋台の様子

 

今回のクリスマスマーケットからは、環境先進国としてEUの新規則に則り、使い捨てのカップが廃止され、デポジット式の再利用できるプラスチック製ハードカップが導入されました。
通常販売されている、ペットボトル飲料やアルミ缶飲料のデポジット額の10セント(日本円で16円ほど)と比べて、1カップあたり2ユーロ(日本円で約320円ほど)という決して安くない金額で設定されていたところには少し驚きましたが、あまり大きな混乱もなくこの取り組みは成功したようです。
ただ課題はあったようで、全屋台が同じカップを使用しているにもかかわらず、デポジット返金窓口が1箇所しかないため、どの時間帯でも長蛇の列ができてしまい、来場者の中には不満を持った人も少なくなかったようです…

 

次はエストニアのクリスマスの過ごし方について。

日本では恋人や友達、家族と過ごしたり、はたまた一切何も祝わない方も中にはいるかと思いますが、エストニアでは家族や親族とクリスマスを過ごす人が大多数です。
僕の家族でも例年通り妻の家族を家に招いて、クリスマスパーティーを行いました。
パーティといっても、一緒にクリスマスフードを食べたり、クリスマスプレゼントを交換したりするこじんまりとしたものです。
今年はエストニアの伝統的なクリスマスフードであるブラッドソーセージにサワークリームをかけ、ザワークラフトを添えていただきました。
エストニアのブラッドソーセージは、日本でも知名度のあるドイツのそれと違い、どちらかと言うと東欧やフィンランドで多く見られる、豚の血を大麦とともに豚の腸に詰めて作ったものに、ベーコンを巻いてオーブンで焼き上げます。
ブラッドソーセージとの名とは裏腹に、あまり生臭くなくすっきりとした味わいです。

我が家では、メインのブラッドソーセージの他にタルトゥに住んでいる義兄に買って持ってきてもらったケンタッキーフライドチキンと(エストニアには、KFCがタリンとタルトゥにしかありません…)、フィンランドのクリスマスデザートのJoulutorttu(ヨウルトルットゥ=パイ生地を風車の形に整え、真ん中にプルーンや、りんごのジャムをおいてオーブンで焼き、仕上げに粉糖をまぶしたもの)を食べました。


ーヨウルトルットゥ

 

ディナータイムが終わると、クリスマスツリーの元に置かれたそれぞれの名前が書かれたプレゼントを交換して、皆でプレゼントを送り合います。
子供達が一番多くのプレゼントをもらうのは万国共通のようで、家族みんなから人形やパズルなどのたくさんのプレゼントをもらって娘は大満足のようでした。


ークリスマスツリーとプレゼント

 

次回のコラムでは、エストニアの年越しについても少し紹介したいと思います。

それではまた、
Nägemist! (ナゲミストゥ=エストニア語でのさようなら)